rRAMPAPPA(ランパッパ) / アーチスト秦万里子の自発信サイトrRAMPAPPA(ランパッパ) / アーチスト秦万里子の自発信サイト

どこでもベッド(後編)

2018.08.19

どこでも眠れるのが特技のようになっている姉。
本人は、
あら、スペースがある→眠れる→そういやあ眠い
と眠っているだけだから、特技とは思ってないかもしれない。

とにかくあれやこれや山のような仕事を抱えているから少しの時間でもあれば、たとえそこがコンクリートの床であろうと眠ってしまうのだ。

母は10年ほど前、世田谷のリハビリ病院に半年間お世話になった。そこのリハビリ病棟は、個室はなく、必ず大部屋。その方が早く回復するそうである。1日に3時間みっちりリハビリをする。だから結構忙しい。
朝、昼、夕飯を食べて、そのほかにバイタルチェックあり、先生の回診があり、その合間を縫って「秦さ~ん、お迎えに上がりましたよ~」と、1日に3回車椅子のお迎えが来るのだ。そして地下のリハビリ室までご出勤、と相成りあまり休んでいる間はない。
だからこそ、母はこれだけ回復したのだと思うし、今思えばあそこでの半年間はその先の母の人生を左右する期間だった。
ということで、母はリハビリに忙しく、見舞いに病室を訪ねても母のベッドはもぬけの殻、ってことが結構あった。

姉はとにかく忙しく動き回っているから、頻繁には見舞いに来られないが、それでも時間を見つけて来ていた。なかなか殊勝な態度だ。
そして、ついにまさかのその日が来た。

姉が病室に行くと母はリハビリ中。おそらくお隣のベッドの方とかに「あらぁ、たった今秦さんリハビリに出掛けましたよ」とか言われたのだろう。
ま、ここで、私なら、地下のリハビリ室に出向く。

姉は…と言うと…
ベッド→空いている→眠い→寝ちゃおーっと!
どういう論法よ!

考えられない。

入院患者のベッドが空いているからってそこで寝る~?幼い孫とかさ、ちょっと具合悪かったとかさ、それなりに理由つけられるならまだしも、すでに当時人生の半分を超えた社会人さ、姉は。しかもめちゃめちゃ元気。
恐ろしいことにが~が~小一時間眠ったらしい。
リハビリから戻った母はビックリ仰天!だってそこに自分の大きな大きな50過ぎた(当時)娘が寝ているんだから!車椅子を押してきてくださったのがヘルパーさんだったか作業療法士の先生だったかは知らないが、おそらくその方は母にも増してびっくり仰天!
そして、駆け付けた看護士さんに「ここは患者さんかが寝るベッドですっ!」と叱られたそうな。
ですよねえ。

まさか、患者のベッドで見舞い客が昼寝するなんて、想定外もいいところ!
「だってさあ、丁度ベッドがあったからさあ、気持ちよかったわよ~」ってさ。

でも、ある意味、母の回復を一気にスピードアップさせたとも言えるかも?はからずもショック療法リハビリ。
これで話を締めようと思ったら急にあるエピソードを思い出した。

その昔、父が初めて入院した時の事。父は、入院患者なのにパジャマを着ずにポロシャツとチノパンで過ごそうとしていた。
「パジャマなんて、みっともない」と。
「はぁ~?」
「ね、お父さん、ここ、入院病棟。お父さん、入院患者だから。」
「毎日先生の診察とか検査があってパジャマじゃないと不便だから、ね。」
「みんなみんな、全員パジャマなのっ!」

なんか、事案は全く違えど、常識の無さ、と言うか誰も思い付かない独自の発想が親子ですご過ぎる~。