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姉の歩んだ軌跡(前編)

2017.10.14

これは姉が実家を離れ近所のマンションに住むようになってからの話であるが…

「はは~ん、さては私の留守中に上がりこんだな。」

と想像するのはかなり容易い。小学生でもわかる。なぜなら、姉の行動はすべて証拠が残っているからだ。

玄関に入るとスリッパが縦方向にずれてリの字、又は片方が裏返って玄関に脱いである。

これで、姉が私の外出中に来たことは一目瞭然。

リビングに行けばダイニングチェアーが引かれたまま、テーブルの上に麦茶のポットが出たまま。そしてなぜかそば猪口。

ふ~む、コップを食器棚から出そうとしたけど面倒だったから洗いかごにあったそば猪口を利用して、ここにどっかり座って麦茶を飲んだんだなあ、と。そしてその最中に電話がかかってきて、さらにその途中でトイレに行きたくなり、子機を持ってトイレに入り、用を足しながらしゃべり、そして、出る時はもう電話の事は忘れてトイレに子機を忘れ…子機がトイレの小さな棚に置いたままである。トイレの手拭きタオルはズロ~っと片方が下がって乱れている。

一階のクローゼットは電気がついたまま。扉は開いたままでポールにハンガーでぶら下がっている洋服がまるで風に吹かれた洗濯物のようにあっちゃこっちゃ踊っている。どうやら彼女の侵入の目的は、何か舞台で着られるようなものがあったら拝借しようと母の昔の洋服を物色すること。

行動丸わかりである。

そして必ず持ち物も忘れていく。なんと言っても、自他ともに認める忘れ物大将だからだ。

携帯電話、お財布、スケジュール帳、ストール、帽子などなど、動かぬ証拠が残されているから姉侵入の推察は簡単。

しかも、びっくりするほど大切そうなもの、すぐに必要そうなものが多い。代表格は財布、カード、鍵。これって、絶対ダメでしょう。さらに!私が知らせるまで、当の本人は忘れ物をしている事自体ほぼ気付いていない。

連絡すると必ず「あら!そりゃ困った」とちっとも困って無さそうに言う。

一応言ってみました風。

「何時くらいに来る?玄関のテーブルの上でいいの?それともどこかで合流して手渡す?」などと聞くのだが(私ってホントに親切)、「あ~取りに行くから玄関テーブルに置いておいて~!」と言われたまま丸1日音沙汰ない。そして夜寝静まった後に「ピポピポピンポ~ン」「はあ~?」とパジャマで玄関に出ると「わりぃ~わりぃ~、ほれ、ここの鍵、ここんちだから開けられないしさ!ねっ!」って…

あのねえ…。そんなことが何回かあって、さすがの私も「もう知らんわい」となり、いつしか姉の忘れていった物品の数々を玄関横のテーブルに積み上げていくという習慣が出来ていた。

すると今度は考えもつかない、想定外のことをしてくれるのだ。

次週、後篇に続く