姉の歩んだ軌跡(後編)
2017.10.21
さて、姉は神出鬼没で、玄関脇に積み上げた忘れ物の回収に来るのは、早朝やら深夜やら、家人が留守中やら、いつ来るのかは予想が立たない。
そして今度は考えもつかないことをしてくれる。
そういえば、今朝出かける時玄関で脱いだカーディガンが無いなあ~…犯人は姉である。自分の忘れ物と共に何故か私のカーディガンまで持ち帰る。似たものを持っていたにしたってサイズが違う!全然違う!サイズが!ま、まさか、パツンパツンで着ている、なんてことは…
まあ、それだけなら100歩譲って、どさくさに紛れて持ち帰っちゃったのかなあ、と相変わらず人の好い私は自らを納得させるのであるが…なんと他人様から私宛に来た宅急便のギフトまで持ち帰ってくださるのだ。
肝心なものを忘れて、余計なものを持ち帰るのだ。どういう思考回路になっているのか、私にとっては難解極まりないが、玄関にある物は怒られないうちに「回収!」と思っていたんだろうなあ。
それにしても、宅急便の段ボールには私宛の伝票が貼ってあるのに。確認せんか!
私がすぐに連絡しなければ、何の疑問も持たずに開梱して食べているか使っているか、である。
そしてこんなこともあった。私が出先から家に戻ると姉の靴が玄関にある。
「あれ?お姉さん?来ているの-?」しかし居間にも台所にもトイレにも姉の姿はない。
でも姉の靴が脱いであるのだから、それを履いてここに来たことは間違いないのだ。
はは~ん…私にはおおよその見当がついた。
そしてもう一度玄関に戻る。
や、や、やっぱり…なくなっているのは玄関サンダル。
履いてきた自分の靴ではなく、我が家の玄関サンダルをつっかけて帰ったらしい。ウソのようだけど、事実。はぁ~、残された姉の靴を見ると、お出かけ風のオシャレなもの。
ってことは洋服はそれなりの物を着ていたはずで…はぁ~、なんで気付かないのやら。
玄関サンダルはスリッポンにはなっているが、合成皮革の相当くたびれた代物である。そろそろ新しいのを買わなくちゃねー、と思いながら早、数か月、みたいなもの。
かなりのアンバランス、ミスマッチファッションでどこかを闊歩しているに違いないのだ。
もし銀座だとしたら我が家の玄関サンダル、銀座デビューだ。
ふと、こういうことを仕出かすのは、姉と巨人軍元監督のNさん位かなあ、と思う。
しかしながら姉に「玄関サンダルはいてったでしょ?」と言っても「そうそう、そうなのよ~、存外履きやすかったわよ~」でおしまいに決まっているのだ。
それと、最後に付け加えておくが、姉が我が家に忘れ物を取りに来る→別のアイテムを忘れ、ていく、だから、エンドレス。エンドレス忘れ物大将なのだ。