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あ~学芸会(前編)

2017.07.15

はるか昔小学校に入学し、学芸会なるものがあることを知った姉は、早々に「はーい!学芸会に出たいでーす!」と手をあげて立候補したそうな。

信じられん。私なんて、そういう時は極力選ばれないように小さい体をさらに小さくしていたのに。同じ親から生まれた姉妹でこうも違うものなのか。

とにもかくにも超速攻積極性が姉の「これが私の生きる道」である。
その場で思ったことを即行動に移すのが、姉の良いところでもあり、浅はかなところでもあるのだ。そして、大変残念なことにその時はそれが裏目に出た。

「学芸会に出られるのは6年間で1回きり」というルールを看破することは、当時の彼女の知恵ではちと難しかったのだ。
しかも、お気の毒なことに彼女に回ってきた役どころは脇役の“ちょうちょ”

し、しかも「その2」
いきなり立候補してきた生徒に、先生もとりあえず、当たり障りのない役を与えたのだろう。

そりゃそうだ、もし主役にしたらその後も一番に手をあげた生徒を主役に据えなければ不公平になる。公明正大、平等がモットーな学校でそれは避けたい。
それに、姉に主役を与えたら吉と出るか凶と出るか博打みたいなものだ。
つくづく賢明な先生だ。

さて、「ちょうちょその1」が「どこに行くんでしょうねえ~」というセリフを言った後、「どこに行くんでしょうね~」と全く同じセリフを言って同調するという、自主性のかけらもない「ちょうちょその2」の1回だけのセリフ。
姉は相当がっかりしたらしい。「は?これだけ?」と。

だって、彼女の頭の中では、普段喋ったこともないような素敵なセリフを、舞台中央に立って語っている自分がすっかり出来上がっていたに違いないのだから。

そして翌年、2年生になった彼女は「今度こそ!」とまた超速攻で立候補の手をあげた。
つくづく懲りない。
そしてそこで奈落の底に突き落とされたのだ。
「あなた、去年出たでしょう?6年間で1回しか出られないんですよ」
「……」

 

次週、後編に続く