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引越し騒動記(前編)

2018.07.28

思い起こせば20数年前の事。

姉が引っ越すことになった。そして、引越し当日の朝。手伝いに行った私は叫んだ。

「はぁっ?」「な、な、なんじゃ?こりゃぁ~っ?」

あのー、いくらお任せだからって言ってもお任せじゃないんですよ。

普通の感覚から言えば、引越しの時は、大事なものや~他人に見られたくないものや~恥ずかしいものとか~、そういうアイテムは自分で準備して段ボールに詰めておきますよね。それに、前日は冷蔵庫の中を片付けたりとか、常識ですよね。そしてちょっとした緊張感と共に当日の朝を迎え、朝ごはんも出来るだけ手をかけないものとかにしますよね。菓子パンを用意しておくとか、おにぎりにするとか。ここまで、私、合ってますよね?

「おはよ~」と台所に入って行き、そこに繰り広げられていたのは、いつもの、ふつーの朝食の風景。当時2歳だったか3歳だったか、子供たちをいつもの席に座らせて、お皿の上にはパンとおかず。「美味しい?良かったぁ~」なんて平和な雰囲気。そこだけ切り取れば、よくCMで流れるパンのコマーシャルみたい。明らかな違いは…流しには目いっぱい汚れた調理用具が積んであり、その他もぜ~んぶいつも通りの取っ散らかった光景。もっちろん、冷蔵庫の中も、ゴミ箱の中も。あ、冷蔵庫にマグネットでやたらめったら貼ってあるメモもそのまんま。

二階に行けばベッドの上に脱いだパジャマは転がっているわ、おもちゃも散乱してるわ、要するにまるでまるで、まるでいつも通りなのだ。

引越し当日までに要らない物の処分、なんていう頭は姉には全く無い。

「引越しだよね?今日、引越しだよね? ちょっと、どーすんの?どーすんの?この物の多さ!散らかり様!そんなご飯食べてる場合じゃないでしょう?」と赤鬼のようになって立て続けに話す私。髪の毛も頭からの蒸気で逆立ちそうな勢いで「一体何時に来るのよっ!引越し屋さんは!」と言うと、姉が不思議そうに一言。

「だって、お任せでしょう?」

次週、後篇に続く