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引越し騒動記(後編)

2018.08.04

「お任せ引越しったって限度ってもんがある!」と叫んでも訴えてもむなしい。

「何でぇ~?だって、お任せよ。お任せって、何にもしなくていいのよねっ!お任せなんだから。見積もりも出てるし。」と至って平常心の姉。それに比べ、私は人生史上初めて位のおろおろぶり。

そして、そんな空気の中、早くも大手引越し業者登場。姉の引越し請け負いが地獄の入り口とも知らずに…

現場に来る引越し業者さんの若者たち、至って礼儀正しい。

「おはようございます!本日はよろしくお願い致しまーす!」と爽やかさ200パーセント!

家に上がったその方たちのさわやかな笑顔が一瞬引きつったのを私は見逃さなかった。

さあ、それからは悪夢のような、あ、これは引越し業者と私にとってだが、長―い長―い1日が始まった。

姉?いつも通りの振る舞いである。

余りの余りのお任せぶりに、いつまでたっても終わらない。しかも、置いてある家具は全部が全部恐ろしく重い。

一体いつ終わるのだろう、という先の見えない不安感。

姉?全くもって不安そうではない。どー見ても要らなそうな木のはしきれや、外に放りっぱなしの壊れたおもちゃなんぞを「これも持っていくんですか?」と言われて、「は~い!お願~い!」なんてご機嫌さんに返事している。

「おいおい、冗談だろ?」これは業者さんの心の叫びを20年の年月を経て私が代弁してみた。今更だけど。

そして、昼頃になって、中でも一番の若者が、広げた両脚の膝に手を置きぐったりと頭を垂れ、ついに「はぁ~」と深いため息をついた。それがまるで合図だったかのようにその他のメンバーも似たり寄ったりのポーズをとり始め、あちこちで「はぁ~」「ふぅ~」というため息が。そしてリーダーと思しき方が電話で仲間に連絡。ほぼ泣き落としに近かったと記憶している。どこかの引越しを終えた別のクルー達が合流。総勢何名だったか、ものすごい人数が総がかりで何とか何とか1日で引越しを終えたのである。

とにかく、後にも先にもあの引越し業者さんにとって忘れることのできない引っ越しであったことには違いない。

姉の引越しは「前代未聞の見積り間違い例、前代未聞のお客様例」として社員教育マニュアルの先頭を飾っているんじゃなかろうか?

恐怖の想定外パターンを事前に対処できるように。「伝説の女」ととして語り継がれているかも。

もしそうだったとしても、姉は「あらぁ~、お役に立って光栄!」と言うに決まっている。普通は汚点に位置付けられるような。

さすがに今はちょっとは気を付けて準備しているようだ。

彼女は言われたこと、書いてあること、そのまーんま受け取る人間であることを忘れてはいけない。

さかのぼること数年、その家に越してきた際、お隣の奥様が「落ち着かれたら遊びにいらしてね」と社交辞令でおっしゃったらしい。しばらくたった後「いつ呼んでいただけるんですか?」と申告に行ったそうな。

姉曰く、「だって、落ち着いてるのにちっとも呼んでくれないんだも~ん」

はぁ~。なんなんだかなぁ~。

それでも「落ち着いたので遊びに来ました」といきなり訪ねなかっただけでも御の字だったのだ。転入も転出もとにかく人騒がせなのだ。

さて、夏休みボーナス編のつもりで書き始めたところ、我が家のエピソードが尽きることなく頭に浮かんできまして…
今しばらく連載が続きそうです。
次週からもご期待ください!