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怪奇現象(後編)

2017.09.23

さて、“興奮した時鼻血ブー”という現象が、大人になって頻尿モード炸裂に変化したのは成長とみるべきなのか何なのかはわからないが、あまりめでたくないことは確かだ。ちなみに今はその現象は起きないらしい。

(あ、あの…今回は“おしも”の話で大変申し訳ありません。あまりお好みでない方はスルーしてください。)

とにかく印象深い想い出は、姉が社会人、私が大学の時、当時売れに売れていた黒人グループのライブに行った時の事である。

ライブの雰囲気に興奮したのか、音楽のリズムや音に興奮したのかは定かではないが、姉は大変な頻尿モードに入った。

ライブ会場アリーナ席からトイレまで一体何往復したことか!

しかも、お察しの通り黙って往復するわけがない。

「おっかしい、さっき行ったばっかりなのに!」「のり~(私の呼び名)、大変大変!又行きたくなっちゃった!」とライブの音に勝る声の大きさ。「何か飲んだっけ?」とか「何でこんなにすぐ行きたくなるのかな」とかいちいち騒ぎながら座っている私の前をまたぎ、他人様の前を「すみまっせん!」と言いながら通るものだから私もライブに全く集中できない。

「のり~、あ~た、行かないの?」ってさ、余計なお世話!

鼻血よりタチが悪い。

いちいち声を掛けていくから、今更他人の振りもできない。姉がトイレに行っている間も、姉にまたがれた他人様に冷たい視線を向けられているようで私はひどく肩身が狭かった。席に戻る時だって「すみまっせん!」と前を通らざるを得ないのだから、何の罪もない私までついでにぺこりと頭を下げてしまう始末。お人好しったらありゃしない。

あまりに頻繁で、さすがの姉もそのうち黙って行くようになった。やっと他人の振りができる。もう遅い。

そして講演も終盤に近づき、アンコールの時間。泣く子も黙る一番の大ヒット曲演奏が始まった。ウオ~!っと会場中が興奮状態に入り、ノリノリで踊ったり歌ったりしている時、勿論彼女は…トイレに走っていた。

ご愁傷様だった。

追記

先日従兄夫妻と食事をしたのだが、私が姉の騒動記をまとめている、という話をしたら私にとっては3歳年上、姉にとっては1歳年下の従兄がこんな話をしてくれた。「昔、万里子と一緒にどっかに車で行った時に、あいつすごくトイレに行きたくなってさあ~、もうちょっとだから頑張れ、とか、まだ大丈夫だよねとか、自分の膀胱に語り掛けてたぜ。」と。

はぁ~。私の知らないところでも騒動を起こしていたらしい。まあ、想像するに、車には野郎ばかり乗っていて、紅一点の姉としてはお得意の喋ることで精いっぱい気を紛らわしていたのだろう。女にとってトイレは切実な問題だ。

しかし、姉にとっては1つ年下の従弟に「万里子」「あいつ」と言われていることの意味も、よーく考えてもらいたいものだ。“生階段落ち”を見ている生き証人、その頃から「万里子って不思議な生き物…」って思っていたんだ、きっと。ま、“そのウマ”(2.読解問題後編)の父だから、あんまり言えないはずだけど!

そういえば、今現在は興奮すると何が起きているのだろう。やたら喋るとか?

いや、もうあれ以上喋らんでよい。

ついでに言わせてもらえば、姉を反面教師にしたおかげか、私は冷静沈着な女になってしまった。姉のせいだ。

口の悪い父が、生前「典子は赤ん坊のころから冷めとった」と言っていたような。失礼なっ!でも実は近頃、姉と同様、私も興奮症なのではないかという疑いが頭をもたげているのだ。

本当は「ぎゃああああー!」とか「うゎああ~!」とか叫びたいが、その寸前にその100倍くらい大きい声で「ぎゃぁああああああ~!」とかいう女がそばに居たから言えなくなったんだわよっっっ、てことにしておこう。

とにかく、この先老年期に突入し、今までのお騒がせを猛省して、是非とも是非とも他人様の役に立つ現象が起きるよう心から願う。

次回に続く