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ナイスパフォーマンス~エレベーターガール編(前編)

2017.09.02

おそらく世間一般の姉妹が「おままごと」をしていた頃、私たち姉妹は「スチュワーデスごっこ」に興じていたのだが、それに勝るとも劣らず頻繁に登場したのは「エレベーターガールごっこ」

昭和丸出しの遊びである。

若い方はご存知ないかもしれないが、当時のデパートなどのエレベーターには、係の女性が乗っていて、慣れた手つきでエレベーターの操作をし、独特の口調でフロアーの案内をしてくれた。やや綺麗めなお姉さんが担当していて、白い手袋をはめ、ちょっとモダンな制服を着て、リボンのついたこれまたモダンな帽子なんぞをかぶっていた、と記憶している。今はもうほとんど見かけない。

大体「モダン」が死語だ。私も古い。

トイレの個室をエレベーターに見立ててそれは始まる。

あ、ちなみにうちは子供部屋の中、作り付けの二段ベッドの横に何故かトイレがあった。

毎度話はそれるが、いまだに幼なじみから「ハタチんちって不思議な間取りだったわよね~」と言われる。確かに何であんな場所にトイレを作ったのだろう。どちらかと言えば年取ってから便利な位置だ。これも変わり者の父の仕業か?風邪をひいたときなどは便利だったかもしれないが、普段はさしてその位置のメリットなど感じなかった。それどころか、中学や高校生になって、中年になった父が、昼間も夜中もお構いなしに子供部屋のドアを開け、「お、いたのか」なんて白々しく言いながらトイレに入って用を足すからはっきり言って迷惑な位置だった。もしや父の作戦?真相はわからないが、やっぱり変。

ま、秦家の間取りはモダンだったのだ。と思うようにしよう。

話戻って、姉はこれ幸いとトイレの個室をエレベーターに見立て、内部、扉近くに立ち、スッチーごっこでも活躍している白い布の手袋をはめた両手を体の前に重ねる。

出ました~!主役のエレベーターガ~ル!

考えたらなんでそんな手袋持っていたんだろう。せがんで母に買ってもらったのか…買う母も母である。あり得る。姉の遊びにとっては必需品だったから、きっと買ってもらったのだろう。又話がそれた。

さて、両手を前に重ね、深々と頭を下げる。扉より一歩前に出て、にっこり満面の笑みで片手を頭上にさし出す。そして抑揚たっぷりに

「上へ参りまぁ~す!」

次週、後編に続く