思い込み人生パート2(大相撲)
2017.08.12
大相撲
前回は漢字の読み方の話をさせていただいたが、思い込みと言えばさらにびっくり仰天な、これこそあり得ない話。あまりの事に今回は一気読み完結。
当時は祖父と同居していたので、私たち姉妹が小学生の頃見るテレビ番組と言えば、大相撲、NHKニュース、新日本紀行、銭形平次、水戸黄門。渋い事この上ない。
さて、その中でも祖父が欠かさず観ていたのは大相撲中継だった。
あ、話はそれるが、姉は赤ちゃんの頃「初代若乃花」のそっくりさんコンテストに応募し入賞し、新聞に出たことがある。
「ところで応募したのって誰?」とたった今母に聞いたら「お父さんに決まってる!」と。
イヤーな予感がしてきた。プロローグでご紹介した姉の写真での決めポーズ、あれ、もしや父が演出してたってことはなかろうか。ぽつぽつと芸能好きの片鱗を見せていた、かなり変人の父の面白い話は、これまた沢山あるので機会があればそのうち…
さて、話を元に戻し、どういうシチュエーションだったか忘れたが、ある日姉の衝撃の告白が。
「あたしさー、相撲のまわしって、ずっと昆布だと思ってた」
「はぁ~?」
「でさ、前のびらびらはワカメ」
「はぁ~?」
「絶対そう見えるってー、ね?昆布とワカメ!それにしか見えないでしょ?」
はぁ~?はぁ~?はぁ~?
「はぁ~」に何乗掛けて良いやら。
確かに昔はまわしはほぼ「黒色」や「濃紺色」だったと思う。だからって…
「そーよ、だからさ、カラーまわしが出てきてあたしゃびっくりしたのよ。」
びっくりしたのはこっちでございます。
“お相撲さんのまわしと下がりは昆布とワカメ”という持論に何の疑問を持たずにずっと大相撲中継を見ていたなんて、そっちの方が奇跡である。
万が一そう思ったとしても、ちょっと変かなあ~、こりゃ何か勘違いかなあ、と思って祖父や父に聞いてみるとか、なんかしらんの情報がどこかからか入っても良さそうなものなのに、彼女の場合、そう思い込んだら前回の「ひゃあこさん」と同様「それ」しかないのだ。だから、誰にも聞かないし、その他の可能性を探る、なんてこともしない。
ここまで思いこむ、ってある意味すごい。
カラーテレビを発明してくれた方、およびカラーまわしを許可した相撲協会の方につくづく感謝である。
それが無かったら、彼女の中では「まわしと下がり」はいまだ
【原材料:昆布・わかめ】
あり得ないけどあり得るような…姉に限っては。あのさ、絹だから。絹!
しかも60歳過ぎた今でも彼女は不満そうに口をとんがらせて言っている。
「だってさ、あの黒のテカリ具合と言い、何重にもなっているところと言い、おせちの昆布巻きにそっくりだったわよ~、普通、昆布って思うって!」
…あり得ない…
追記
「ねえ、そんなに似ていたの?初代若乃花に」と改めて母に聞いみた。88歳の母はしばらく首をかしげていたが、
「あ~思い出した。なんかねぇ、万里子、あの時風邪ひいて鼻水2本垂らして顔がむくんでいたのよ~。で、似てる!ってなってさ」
初代若乃花様、大変申し訳ありません。罰当たりな両親をお許しください。
まさか、60年も前にこんな軽いノリの親がいたとは。
「は~?な姉と半世紀」という副題を「はぁ~?な家族と半世紀」に変える日も近いかもしれない。
次回に続く